2017-09-14 フィクション・シティーのこと

みなさんお疲れさまです。
こちらは今日も稽古おわりです。
これから、2週間後に初日を迎えるフィクション・シティーの稽古場のことや、作品のことをちょっと長々と書きます。
今年5周年を迎えた贅沢貧乏は、今まで同世代の俳優を中心に作品をつくってきたのですが、今回は少し上の世代の俳優の方たちにも出演してもらっています。
 
ナイロン100℃劇団員の猪俣三四郎さん、元演劇弁当猫ニャー劇団員で湯ぶね主宰の和田瑠子さん、野田地図常連俳優であり贅沢貧乏で身体に特化したワークショップの講師をしてもらった野口卓磨さん、庭劇団ペニノで長年演出助手をつとめ、最近はあの「地獄谷温泉 無明ノ宿」でめくらの男を怪演していた森準人さん。
それから同世代で実力派の俳優 猪瀬青史や、前作「テンテン」に引き続き出演する独特の存在感と美を併せ持つ神崎れな、そして劇団員の田島ゆみかと大竹このみ、あと私です。
もう稽古が刺激的で本当に楽しい。わたしが演出すると、その演出意図と思考を汲み取り、それがすぐに体現され、そこからさらに別の解釈を提示してきてくれる。伝えたことを、そのままやるのではなく、それぞれが深く考え解釈し、作品が毎日深められていく。それを積み重ねていって、毎秒有意義で大変なことになっている。
   
これは理想としてきたことだし、先輩方からすると、当たり前のことなのかもしれないけど、自分の現場でこういう流れが作れるようになったのは本当にうれしい。わたし自身ここまでくるのに時間がかかったし、あとは信頼できる俳優たちのおかげです。毎日感謝しているし、演出家としてはこれまで到達できなかったところまで手をのばす余裕があるので、いい意味で無責任に次の段階にいくための演出ができる。
劇作家と演出家を兼任しているわたしが、今回課題にしていることは、作家と演出家の自分をなるべく切り離すことなんですけど、それによる発見が想像以上に多くてびっくりしています。一昨年くらいのAAF戯曲賞のとき、一軒家で上演した台本「ヘイセイ・アパートメント」がノミネートされて、その選考会を聞きにいったんだけど、わたしの戯曲はこれは上演台本だよね、といわれて初っ端であっさり選考対象から外されて、正直その時は、なんだよ!と思ったり、イラっとしながらもその意味をずっと考えたりしていていた
それから私は、しばらくして、あの時選考委員だった地点の三浦さんの言ってたことがすっごくよくわかって、あとは演出家という仕事のことをものすごく考えた。三浦さんの本を読んで、アンダースローまで地点をみにいって、演出家の仕事のことを考えて、それから劇作家と兼任してる自分の仕事のことを考えた。
今回は、あの時の言葉を借りれば「戯曲」を書けていると思う。5年で13作品夢中でガシガシつくってきたのですが、はじめて積極的に再演したほうがいいと思える作品になると思う。わたしは無責任に戯曲を書いて、どうやるかは稽古場の演出家に任せることにしている。それから演出家のわたしは、芝居は無責任に俳優に任せている。彼らは、なんとかしてくれるので。
贅沢貧乏のメンバー構成は、外からよくわからないと思うのですが、音楽、衣装、カメラマン、映像、制作、俳優って感じなのですが、スタッフの動きも5年目にして一番いいと思っている。それぞれの部署の提案力があがっていて、わたしはその面に関しても今までよりも高い割合で任せている。俳優メンバーの大竹と田島も本当に頼りになるし、全体的にチームワークがとても良い。
あとは、外部のスタッフさん(美術・音響・照明・舞台監督)との連携も、わたしはアパートとか一軒家で作品を3年くらいつくっていてあまりやってきてなかったことなんですが、前作「テンテン」を経てかなりいい関係性で創作に向かえている。
正直、今年はいって演劇つづけられんのかなどうなのかな、なんかやる気がしなくなってきたなと思っていた私は、今最高に演劇が楽しい。今回の作品をつくっていることで、少なくとも向こう5年は演劇を続けられると思う。やりたいことがたくさんある。やれることもたくさん見えてきた。それが最近のわたしの近況です。
それから、フィクション・シティーは今までの台本の中でも結構よく書けてると思う。わたしは今の日本(ともちろん地球)に向けて書いた、フィクションにまつわる普遍的なお話だと思う。あらすじはうまく言えない。
今作のキャッチ「わたしは、フィクションなんかに救われない」を文字って、現在発売中の新潮によせた「ブラジャーなんかに救われない」もできれば読んでほしい。わたしがなんでフィクションをブラジャーに言い換えたのか。あ、フェミエッセイじゃないよ。
そんなこんなで長くなったのですが、フィクション・シティーみにきてほしい。チケットは好調なのですが、実は土日が売れてて売り切れそうなんだけど、今回は木金土日の4日間しかなくて、土日埋まっても、初日と二日目が埋まらなかったらかなりやばい感じです。今まで60席くらいの劇場でしかやってきてない私たちが、急に200席の劇場でやります。そして、めっちゃめちゃに楽しんで挑戦しています。どうか、ぜひ、面白いので見に来てください。
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