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「家プロジェクト」とは
贅沢貧乏が2014年3月より開始した演劇企画。「家プロジェクト 一軒家編」では、東京都・江東区北砂の二階建ての一軒家にて制作・稽古・上演を行ない、『タイセキ』『東京の下』『ヘイセイ・アパートメント』の3作品を発表。2015年5月に一度区切りをつけ、2016年5月より「アパート編」として再び江東区北砂で再始動。“土地や建物の固有性”が演劇に与える影響を感じながら、劇場空間との付き合い方を思考しつづけている。
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家プロジェクトロゴ アパート編
 

贅沢貧乏は2014年、一軒家を1年間借り、
演劇作品の創作・稽古・本番をする「家プロジェクト」を立ち上げ、
『タイセキ』『東京の下』『ヘイセイ・アパートメント』の3本の作品を発表しました。

そして2016年5月、「家プロジェクト アパート編」として、新たなプロジェクトを始動します。

2014年当時「家プロジェクト」を立ち上げたきっかけは、
稽古は公民館や公共施設などを借りて行い、
劇場に入ってから数日で舞台に乗せ発表をする、
という小劇場界では通常とされているやり方では思うように作品が作れない、
と違和感を覚えたことがきっかけでした。
自分たちにとって一番自然に作品が作れる場所・環境を自分たちで作ってみた、
というのが「家プロジェクト」企画の本質で、
「家」というのは後から付随して出てきたものでした。

家プロジェクト 立ち上げ当初・一軒家編の詳細はこちら

そして2015年5月に家を引き払ってから約10ヶ月。
今回新たに今感じている演劇界の風習への違和感と、
それを解消する手がかりを模索するため、
再び「家プロジェクト」を始動します。

 

生活をするように演劇をする

 
小劇場界の役者は
「やりたいからやっている」
「この演出家が好きだからギャランティが少なくても引き受ける」
という認識がまかり通っており、
仕事に対して真っ当な報酬を得られていないという問題があります。
実際、全くギャランティが支払われないというケースも多くあり、
チケットバック(1人お客さんを呼ぶにつき、いくらキャッシュバックすると決める制度)や、
ましてやチケットノルマと言って役者にさらに負担をかける制度もあります。

しかし、役者は決して「やりたいからやっている」のではなく、一つの立派な職業です。

理想を言えば、
拘束時間に見合い、生活していけるだけのギャランティが支払われるべきですが、
全体としてお金のない舞台芸術界にはなかなかの無理難題として捉えられるでしょう。
何を基準としていくのがベストなのかは、演劇界全体で考えていく必要があります。

そこで、私たちは今回、以下の内容を設定します。
 ・ 週休3日/1日2公演を1ヶ月以上続けるロングラン公演にする
 ・ 公演の回数を重ねるごとに役者への報酬は多くなるシステムを目指す
 ・ 週休3日分の日程は他の仕事に充てられるよう拘束しません

多くの小劇場の俳優は、アルバイトなどをしながら食いつなぎ、演劇活動を続けています。
その現状をすぐに私たちが解決することは難しいですが、
公演がある毎に働けなくて困窮する状態を打破することは出来るため、
アルバイトのスケジュールを尊重した稽古日程や本番を組みます。
役者が困難な生活環境や労働環境に疲弊して続けていくことが難しくならないよう、
「生活をするように演劇をする」ことを目指します。

また、1週間〜2週間程度しか公演期間がない作品が多くあるなかで、
このようなロングランの形をとることは、
観客にとっても観劇するチャンスを増やすことにつながり、
共に「生活するように演劇をする」という目標への実感に繋がります。

* * * * * *

前回の家プロジェクトに区切りをつけた際、場所を持つことの重要性を感じました。
既存の劇場で公演をする場合は、劇場のシステムを元とした作り方になってしまい、
既存のシステム・サイクルから抜け出すことが困難です。
しかし、もちろん借りている期間ずっと家賃を払い続けることは容易なことではありませんが、
場所を持つことで、スケジュールに関しても制作過程に関しても、
フレキシブルに自分たちに一番あった作り方を自分たちで模索できます。

今回そのようにフレキシブルに公演日程などを決められることから、
動員が伸びて、翌月も公演を続けられると判断した場合は、可能な範囲で上演を続けます。

* * * * * *

今回の企画は、まだ実験段階および演劇界への警鐘でしかありませんが、
このまま全く同じシステムや慣習が在り続けるのでは状況は変わりませんから、
私たちから問題を提起して少しでも何かが変わるきっかけになればと思います。
刻一刻と変わりゆく時代の中で、演劇界も柔軟に対応し変化していく必要があるのではないでしょうか。

 
追伸:
私たち贅沢貧乏はバブル崩壊後の1992年前後に生まれ、バブル時代のことを知りません。
ただ、今もなお定着しているシステムや慣習は、当時まかり通っていたものがそのまま残っているのではないかと思います。それに対して私たちが違和感を覚え警鐘を鳴らすのは、90年代生まれの私たちからしたら当たり前のことだと思います。
「やりたいからやっている」という考え方は古い考え方であり、万が一演劇自体を必要としない社会となるのであれば、更なる危機感を覚えます。

 

2016年3月 贅沢貧乏

 

 

やまだ_02_web

山田由梨  主宰、演出、脚本

劇団を続けて4年、つまり大学を卒業して2年、社会人になって2年になり
演劇をつくるという職業について、俳優というという職業について考えるようになりました。
それから、おばちゃんになっても演劇を続けていくにはどうしていいかを考えています。
その結果、今回はこういうふうにして演劇をつくってみようと思いました。
大好きで最強な演劇界ですが、破綻していてもなかったことにしているところが結構あって、
わたしはそれはよくないと思っています。こんな普通によくないとかいって、ごめんなさい。
でも、見て見ぬふりをせず、そうじゃなくす方法を本気で考えなければいけないし、
それを考えるのはわたしたち平成生まれがやらなきゃいけないことでもあるのかなーと思っています。
なぜなら私がおばちゃんになっても演劇を続けたいから。
そんなことも考えつつ、とにかく面白い作品をつくるように頑張ります。
この企画は、上演するものが面白い作品であることが前提に成り立つからです。こわい。

 

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大竹このみ  贅沢貧乏 役者、『ハワイユー』出演

贅沢貧乏メンバーの、大竹このみです。
恥ずかしながら、最近やっと贅沢貧乏の”贅”の字が書けるようになってきました。ちょっと嬉しいです。
今回の公演、贅沢貧乏の俳優になってから初めての出演です。
今までになく俳優を名乗ることへの重みを感じます。
俳優になりたくて、大学の頃から演劇をやっていますが、
ふと、なんで役者をやっているのかわからない時があります。
なんでこんな恐ろしいことやってんだ、、、心臓に、わるい、、、とか思ったりします。
でも、「もうやだ、芝居なんかやめてやる!」と思ったことはなくて、
まあ、私が芝居を辞めようが知ったこっちゃない!って話ですが笑、、、、、。
人間は何かを見て感動することができて、それを言葉にできたりいろんな感情で表現する生き物です。
それってすごいことだし、美しいことですよね。
だから演劇が生まれたんだなーって思うし、だから私は表現し続けたいって思います。
まだまだこれから。贅沢貧乏の一表現者として私なりに頑張ります。
家プロジェクトが再始動ということで、またお家で作品をつくれることが私は何より嬉しいです。
まだまだ家の中に面白さは隠れていて、それを発見していけたらいいなと。
たくさんの人にお家に遊びに来て欲しいです。
そして、今回プロジェクトを一緒に取り組む、かなり頼もしいメンバーが揃いました!
すでに楽しいです!これからよろしくお願いします!

2016年より贅沢貧乏に加入。
また現在、こまばアゴラ演劇学校無隣館の2期生俳優部に所属。
これまでに、レティクル座、白昼夢、in企画、lulu、いきずり、贅沢貧乏など、同世代の劇団に多く出演している。

 

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佐久間麻由  『ハワイユー』出演

こんにちは、貧乏なのに贅沢な食事を好んでしまう佐久間麻由です。
いきなりわたくしごとですが、2016年の2月末に、はじめて企画と制作という立場で演劇に関わりました。
出演もしたのですけどー。
それは、自分が演劇と関わり続けてゆく方法のひとつとしてはじめたことだったと思います。
そのことがわたしにもたらしてくれたことが大きすぎて、
だからこれからも演劇に関わり続けられそうだ、と思います。
そして、そのことの次に関わるのが、贅沢貧乏「ハワイユー」です。
贅沢貧乏、見たことがないです。
贅沢貧乏、いい名前だなぁと思います。
山田由梨ちゃん、かわいいなぁと思います。
少し前までとても遠いところにいた彼女と出逢ったのは突然で、
仲良くなったのも突然で、そんな突然にわたしは驚くこともなく、
気がつけば「一緒に新しいプロジェクトを立ち上げるって気持ちだからね!」
って彼女は近くでにこにこ笑ってました。かわいい。
なので今回も、俳優として、だけではなさそうです。
彼女の家に転がり込んで、彼女の家に集まるみんなと一緒にたのしみがんばります。
あ、はじめての、2人しばいだなー。
こんちゃんに、この身を任せます。
こんちゃんはいつもとっても優しいから、
このプロジェクト中にこんちゃんに叱ってもらえるようにがんばります。

映画や演劇を中心に、フリーランスの俳優として活動中。
また、多様な作品との出逢いを経て、映像作品や演劇作品の枠にとらわれない「ものづくり」そのものに興味を持ち、それを行える「場」を作っていきたいと、企画や制作をはじめた。

 

ほり_42

堀朝美  制作

2年半くらい前に舞台制作というお仕事に出会い、1年前からフリーランスとして働いています。
色んな現場に入り、素晴らしい作品にたくさん出会うなかで、この業界の良い面・悪い面もたくさん見ました。
「より人間らしく舞台作品を世に届ける」ためにはどうしたらよいのだろう、と考えていたところ、
ちょうどこのプロジェクトに制作として入らないかとお声がけいただきました。
アーティスト、テクニカル、制作、その他舞台芸術に関わる人すべてが、
情熱はそのままに、より健康的に、人間らしい生活を営みながら、作品をつくることができる環境づくり。
これは私が舞台制作を続けていく上でのひとつの大きな目標かもしれません。
その環境づくりのために何かしようともがけるのは、もがいている姿を世に見せられるのは、
わたしたち平成生まれなのかもしれない、と思います。
今回のプロジェクトはまだ生まれたばかりですし、
純粋に贅沢貧乏の作品を楽しみにしてくださっているお客様には全く関係のないことではあります。
しかし、舞台作品がより正しく、深くお客様に届くよう奮闘している姿を見せることで、
芸術のあるべき姿を一緒に考えるきっかけになればと思います。

 

水野_45_web

水野恵美  制作協力

一軒家での家プロジェクトに一度終止符を打ったものの、結局家に戻ってきてしまいました。
当初は、劇場でやりたいことが出来ない代わりに偶然家に入った訳ですが、
今はもはや、家の柔軟さに虜になってしまっているのかもしれません。
でも、理由がなければわざわざ家ではやりません。
贅沢貧乏にエンジンがかかる時は、違和感を手に入れた時です。
ということで、今回はまた違った理由から家プロジェクトを再始動するということを明言すべく、
このようなテキストを発表しました。
こんなことはお客様には関係ないことかもしれない、
お客様はただ面白いものを観れればそれで良いのかもしれない。
でも、なぜ私たちが演劇をやるのか、なぜ私たちが少し違う方法で演劇にアプローチしているのか、
少しでも分かるヒントになるといいなと思います。
私は制作なので、「見え方」として贅沢貧乏は「今こうするべき」と浮かぶことが多く、
やりたいことをやりたい/やりたくないことはやりたくない山田由梨とバッティングすることもあります。
今回も、アパートに落ち着くまで、とても時間がかかりました。
でも最終的には、山田のやりたいことに落ち着くのが常ですし、
特に作品づくりのことは彼女のことを120%信用しているので、ある程度放っておきたいと思います。
今回このようなシステムが出来るのは、
(家賃は毎月かかるものの)劇場使用料や照明・音響等のテクニカルにお金がかからないからで、
このように豪語したところで私たちは助成を受けていないヒヨッコの若い団体ということもあり、
そのうちお金が底を突いて出来なくなるかもしれません。
その時はすぐアパートを出ると思います(笑)
演劇や舞台芸術で生きると決めた人たちの強い意志を感じてもらえたら何よりです。